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ソイルセメントでの地盤改良とは?特徴やメリット・デメリットを解説

2022年11月25日

地震など、自然災害や地盤沈下から住宅を守るには、土地の地盤改良が欠かせません。

地盤改良とは、まるで豆腐のような軟弱な土地の上でも、丈夫で安全な住宅を建築できるように地盤補強の工事を行うことをいいます。
ソイルセメントは、いくつかある工法の中の一つで、多くの戸建住宅で採用しています。

今回は、ソイルセメント工法の特徴やメリット・デメリットなどについて、詳しく解説します。

ソイルセメントでの地盤改良とは?特徴やメリット・デメリットを解説

ソイルセメントによる地盤改良とは?

地盤改良は「地耐力が20~30KN/㎡以下」「過去に埋立地や液状化などが起こったなど」と判断した土地に必要な施工です。

ソイルセメントは柱状改良工法やソイルセメントコラムとも呼ばれ、一戸建て住宅を含めた小規模な建物で採用される工法です。

セメント系固化材と水を混ぜたミルクセメントと土地にある土を混合し、地中に柱状の杭を製造します。

ソイルセメントの他にも、いくつか工法があります。

・小口径鋼管工法
・RES-P工法
・ピュアパイル工法
・ウルトラピラー工法
・ジオクロス ユビファ工法

地盤調査を行って「地盤が柔らかいため、住宅を建てるのは危険」と判断したときに地盤改良をします。

どの工法にするかは地盤や建造物の構造によって変わってくるため、予算や適切な方法を見極めなくてはいけません。

ソイルセメント工法の実施法

ソイルセメント工法の施工は、次のステップで行います。

1. 掘削の位置決め
2. ビットの設置
3. スラリーを噴射しながら掘削
4. ビットを引きながら撹拌
5. 打設終了(地盤改良材の固化)

設計震度まで掘削後、今度は柱状に掘削した土と地盤改良材を撹拌(かくはん:混ぜ合わせること)します。

ソイルセメント工法をする位置は事前に決まっており、掘削の直径は約60cmで約8m以内の軟弱な土地改良に適した工法です。

ソイルセメントで地盤改良するメリット

多くの住宅で採用しているソイルセメントによる地盤改良は、さまざまなメリットがあります。

コストが安い

地盤の弱い土地へ建物を建築する場合、建造物に適した土地改良が必要です。
一戸建て住宅に多いソイルセメント工法は、天然砕石パイル工法や銅管杭工法に比べるとコストの安さが特徴的です。

坪単価の相場は銅管杭工法が約4~6万円なのに対し、ソイルセメント工法は約2~3万円と2~3万円ほど安く済みます。

住宅を建築する際、限られた予算の中でどこを重視するのかで住心地は変わってくるため、コストが安くてしっかりした工法はメリットが大きいでしょう。

騒音や振動が少ない

地盤改良の施工中は音や地面の揺れなどがあまり出ないため、近隣住人へ悪影響を与えません。
慣れない土地へ新築を建てる場合、今後を考えて周囲への気配りは大切です。

建築中の音や振動はトラブルのもとになりかねないため、近隣周辺に迷惑をかけない工法はメリットが大きいでしょう。

工期が早い

ソイルセメント工法の工期は、一般的に一日~二日が目安です。
一般住宅が多く採用する工法で、2トン車が入れる場所であれば問題なく地盤改良ができます。

住宅建築では工期が限られているため、一つの項目に時間を必要とすると、次の工程が大幅に遅れてしまいます。

賃貸に住んでいる場合、新居入居に向けて退去の申込みや引っ越し業者の予約などしているため、スケジュールが遅れるとすべての計画が乱れてしまい大変です。

地盤改良は住宅を建てる上で大切な工法の一つですが、工期の早さも重視したいポイントです。

ソイルセメントで地盤改良するデメリット

ソイルセメントは他の工法に比べて「安い」「近隣へ迷惑をかけない」といったメリットがあります。

実際に施工してみるとデメリットに感じる部分もあるため、工事する前に確認しておきましょう。

腐植土の土地は適していない

土の上を歩くとフカフカではなく、ジメジメとした状態の腐植土は、植物の繊維を多く含んでいるため、ソイルセメント工法は向いていません。

例えば、田んぼとして使われていた土地や沼だった場所を埋め立てた土地は、地層が腐植土の可能性が高いです。

土の中に植物が多く含まれているため、雨が少し降っただけで柔らかい土を作ります。
いわゆる泥のような状態で、このような土地はしっかりと地盤を強化しなければいけません。

ソイルセメントは廃棄物扱い

ソイルセメント工法で、土の中に埋めた地盤改良材は、廃棄物として取り扱われます。
住宅に一生涯住み続けるのであれば問題ありませんが、状況によって大きなデメリットに感じるケースがあります。

例えば、将来土地を売却する際に、産業廃棄物の撤去費用が発生するなどです。

土の奥深くまで埋まっているため、産業廃棄物の処理代の他に掘削費用もかかります。
売却を前提に住宅を建てる人はあまりいませんが、万が一を考えておくことも大切です。

まとめ

ソイルセメント工法は、多くの住宅で取り入れている工法です。
施工期間が短く騒音や振動の影響も少ないため、密集住宅地で新築を建てるときも近隣へ迷惑がかかりません。

腐植土や作業者が侵入できない狭い土地でなければ、ほとんどの土地で地盤改良ができるでしょう。