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東京都の電柱地中化とは?完了時期やメリット・デメリットを解説!

2022年12月23日

電線地中化について近年よく聞くようになったのではないでしょうか。
ですが言葉自体は知っていても、内容がよくわからない方も多いと思います。

電線地中化は、国が法律を制定して行っている事業です。
東京も条例を定め計画を進めています。

この記事では、東京の電線地中化について、概要だけでなく完了時期やメリット・デメリットについても解説していきます。
東京の電線地中化について気になっている方は最後まで記事をご覧ください。

東京都の電柱地中化とは?完了時期やメリット・デメリットを解説!

東京の電線地中化とは|電線類を地下空間に収納する計画

電線地中化とは、地下の空いている空間に電線類を収納する計画です。
下に共同電線溝という電話や電気などの電線を同時に収納する筒を埋めます。
地上には電圧を調整する機器などを収納する箱を置きます。
これにより電柱や電線の地中化が実現できるのです。

日本では2016年12月に無電柱化の推進に関する法律が施行されました。
東京は法律に基づき無電柱化計画を発表し都道府県で初めて無電柱化推進条例を制定しました。

2021年には計画の改訂案が発表され、年間あたりの整備規模を倍増させるのを目標としています。

東京の電線地中化の現状

東京の電線地中化は現在は都道の27%で実施されています。
この数字をみると東京の電線地中化が進んでいるように感じますよね。
ですが都内の道路のうち、都道が占める割合は約10%です。

残りの約90%は区市町村道であり、この区市町村道の電線地中化率はわずか2%です。
東京23区でみると電線地中化率は8%であり、計画が進んでいないのがわかります。
また、東京の電線地中化を進めるうえで重要な以下の点の現状も解説します。

● 費用
● 期間

費用|電線共同溝の整備1kmあたり5.3億

電線地中化には電線共同溝が必要です。
この電線共同溝の整備には、施設延長1kmあたり5.3億円かかると言われています。
この費用を誰が負担するのか気になるのではないでしょうか。
現状では道路管理者負担が3.5億円、電線管理者負担が1.8億円となっています。

道路管理者とは国道は国、都道は東京都、区市町村道は区市町村です。
電線管理者は電気・通信事業者を指します。
道路管理者は電線共同溝の建設、電線管理者は地上機器の設置や、電線共同溝への電線の入線などを担当しています。

期間|400mで約7年かかる

電線地中化の工事は400m整備するのに約7年かかります。
現在年間25kmのペースで進んでいますが、このペースだと2060年代までかかるので倍増させる方針が発表されました。
歩道増員2.5m以上の都道について、2040年代までに電線地中化の完了を目指しています。

東京の電線地中化のメリット

東京の電線地中化には三つのメリットがあります。

● 災害時の被害を少なくする
● 交通の安全性を確保できる
● 景観がよくなる

それぞれ詳しく説明していきます。

災害時の被害を少なくする

電線地中化のメリット一つ目は、災害時の被害を少なくする点です。
地震大国と言われる日本。
電柱や電線は、災害時の被害を大きくする要因の一つだと言われています。

東日本大震災では以下の数の電柱が倒壊しました。
● 電力:約28,000基
● 通信:約28,000基

この倒壊・断線した電柱や電線は発災直後の道路の啓開作業を阻害したと言われています。
電線地中化を行うのは、災害発生時の被害拡大を少なくする効果が期待できます。

交通の安全性を確保できる

電線地中化のメリット二つ目は、交通の安全性を確保できる点です。
2021年に起きた交通事故のうち、自動車単独の電柱衝突事故は550件発生しています。
電柱が交通事故の要因の一つになっているのがわかるでしょう。

また張り巡らされた電線は、信号機や道路標識をみえにくくしてしまいます。
電線地中化を行うと、交通事故の要因減少につながるのです。
さらに電柱がなくなると歩道が広くなり、車椅子やベビーカーの通行がしやすくなるというメリットもあります。

景観がよくなる

電線地中化のメリット三つ目は、景観がよくなる点です。
張り巡らされた電線がなくなると空が大きくみえ、街並みもきれいになります。
また道路を設計する際に、電柱を考慮する必要がなくなるため設計の自由度があがります。

今までは直線しか作れなかった道路も、海外の街並みのような曲がった道路が作れるようになるのです。
さらに。電線がなくなり鳥がとまらなくなるため、フン被害が減り衛生的になるというメリットもあります。

東京の電線地中化のデメリット

東京の電線地中化には、二つのデメリットもあります。

● コストがかかる
● 修理・復旧に時間がかかる

それぞれ解説していきます。

コストがかかる

電柱が1本数十万円で設置できるのに対し、電線地中化には5.3億の費用がかかります。
特に電線管理者の負担が大きく、予算確保が難しく電線地地中化が進まない最大の要因となっています。

そのため、コスト削減に向けた技術開発が進んでいるのです。
具体的には、電線の埋没深さを浅くして土工コスト削減につなげる、電線管の素材を変更するなどが検討されています。

修理・復旧に時間がかかる

電線類が地下収納となるため万が一断線すると、断線箇所特定に時間を要し修理に時間がかる可能性がでてくるのです。
そのため大規模災害時等は復旧までの間、地上に電柱を立てる可能性があります。

ほかの国の現状は?世界の電線地中化との比較

電線地中化は世界的にも取り組まれている事業です。
パリ・ロンドン・香港の電線地中化率は100%となっています。
東京も電線地中化を推進しているとはいえ、世界と比較すると水準が低いのがわかるでしょう。

まとめ

電線地中化は災害対策や事故防止に役立つ事業です。
しかし、完成させるにはコスト削減ができる新たな技術開発が必要となります。
株式会社SWIFTは確かな実績と信頼のもと、電線地中化に関する技術を提供いたします。
お困りの際はぜひ一度ご相談ください。