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凝灰質粘土とはどのような地盤?その特徴や耐震力についてのまとめ

2022年11月22日

宅地であれば、どのような土地でも問題なく住宅が建てられるわけではありません。
土地の状態によっては、地盤改良などの工事が必要です。

そのため、地盤調査を実施し、土地の状態を確認することが一般的です。
その際に土壌が「凝灰質粘土」質だった場合、その土壌にはどのような特徴があるのかについてまとめます。

凝灰質粘土とはどのような地盤?その特徴や耐震力についてのまとめ

凝灰質粘土とは

世界の火山の10分の1が日本にあるといわれるほど、日本は火山が多い国です。
火山の噴火により噴出した火山灰が降り積もった場所も多くあります。
代表的な場所としては関東ローム層や九州のシラスといわれる火山灰質土でしょう。

関東ローム層は、今から約180~160万年前から現在にかけて形成された土壌です。
土の粒子が細かく、粒子同士が特別な結合により強固に繋がり、強くしっかりとした地盤となっています。

この地盤の下には、さらに昔に降り積もった火山灰により作られた地盤があります。
それが凝灰質粘土です。

砂分がほとんどない

土の粒子が細かい関東ローム層に対し、凝灰質粘土は砂分がほとんどない特徴があります。
また、色あいも関東ローム層は赤土であるのに対し、凝灰質粘土は乳灰白系です。

保水性や浸透性に優れた関東ローム層に対し、凝灰質粘度は隙間がほとんどないため保水性や浸透性があまりありません。

地盤としての安定性

関東ローム層は粒子同士の特別な結合により強固な地盤ですが、凝灰質粘土もまた自然堆積した状態では安定していて、宅地としては良好な地盤です。
ただし、掘削などで自然堆積した状態が乱されると強度が著しく低下します。

これは関東ローム層でも同じですが、凝灰質粘土もまた粒子同士が特別な結合により強度を保っているためです。
結合が壊れると土壌が一気に軟質化し、軟弱地盤に変わる特徴を持っています。

例えば、盛土として凝灰質粘土を使った場合は自然堆積した状態とはいえません。
また、がけ崩れなどが発生した後に堆積した凝灰質粘土も軟弱地盤となります。
このように、自然堆積が崩れた凝灰質粘土は、安定性が失われます。

地耐力とは

地耐力は、地盤が耐えられる力の大きさです。
一般的な2階建ての戸建て住宅の場合、30tほどの重量があります。
このような重さの建物が沈み込んだり傾いたりしないかを考えるときに必要となるのが地耐力です。

例えば、作物を育てる畑の土はふわふわと柔らかいですよね。
地耐力としては0に限りなく近い状態です。
このような土の上に建築物を建ててしまうと、建物を支えることはできませんので傾いたり沈んだりします。

地盤が固いと、それだけ重たいものでも支えられます。
つまり地耐力が大きいほど、強固な地盤となります。

単位はkN/平米

地耐力を表す単位はkN//平米です。
1平米あたり何kN(キロニュートン)まで耐えられるのかを表します。
ニュートンというのは圧力を表す単位です。

例えば、岩盤の地耐力は1,000kN/平米となっていますので、1平米あたり100tの圧力に耐えられます。

凝灰質粘土の地耐力

地盤の中でも、粘土質の特徴を持つ地盤は地耐力がありません。
一般的な粘土質の場合は20kN/平米です。
ただし、自然堆積した状態の凝灰質粘土の場合は75kN/平米あったという調査報告もあります。

同じ凝灰質粘土でも、自然堆積した状態なのか、盛土やがけ崩れにより堆積した状態なのかにより地耐力には大きな差が生まれます。

耐震力とは

上からの圧力(重さ)に、どれくらい耐えられるのかが地耐力でした。
耐震力は地震発生時の揺れやすさです。

例えば、同じような建物でも、地盤が揺れやすい土地だとやはり倒壊リスクが高まり、揺れにくい土地なら倒壊リスクが下がります。

沖積層と洪積層

日本の地盤は、大きく分けると沖積層と洪積層の2層に分かれます。
前者は約1.8万年前より後の時代に堆積した地層で、後者はその前に堆積した地層です。
耐震力が強いのは洪積層です。

一方沖積層は比較的新しい層なので、洪積層より柔らかで揺れやすい特徴があります。
さらに、近年埋め立てられた砂層地盤では、地震の際液状化が発生するリスクもあります。

凝灰質粘土層の耐震力

180~160万年前から現在にかけて堆積して作られた関東ローム層よりも古い時代に凝灰質粘土は作られました。
このことから、自然堆積の状態の凝灰質粘土は洪積層にあたる地盤といえるでしょう。

洪積層なので自然堆積の状態の凝灰質粘土は耐震力が優れた地盤です。
ですが盛土やがけ崩れによって堆積した凝灰質粘土は沖積層にあたる地盤となります。
自然堆積の状態とはことなり耐震力も低い状態になるでしょう。

まとめ

地盤調査により土壌に凝灰質粘土がある場合、それが自然堆積の状態なのか盛土やがけ崩れにより堆積した状態なのかにより地耐力も耐震力も変わります。
地質だけではなくどのような状態で堆積したものなのかを把握することが大切でしょう。

凝灰質粘土なので、地盤改良が必要といった判断ではなく、堆積した状態なども踏まえた判断が必要といえるでしょう。