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電気の引き込み線には種類がある?工事の流れや注意点

2022年11月06日

普段何気なく使っている電気、引き込み線には種類や工事方法があるのをご存じですか?

戸建て住宅から工場、ビルなど設備によって工事の方法は違います。
また、電気の引き込み工事は依頼したからといって、すぐ施工できるわけではなく、規模によって費用も大きく変わります。

そこで今回は、電気の引き込み線に関する情報について、詳しく解説します。

電気の引き込み線には種類がある?工事の流れや注意点

電気の引き込み線の種類は?

電柱同士をつなぐ電線は、電気エネルギーを運ぶのが役割です。
発電所から出流れてきた電気は50万ボルトなど、そのまま使うには電圧が高すぎるので、
変電所によって電圧を低くして供給しています。

発電所から住宅に電気エネルギーは、次のような過程で供給されます。

1. 発電所
2. 超高圧変電所
3. 一次変電所
4. 二次変電所
5. 配電用変電所
6. 柱上変圧器
7. 引き込み線から住宅へ電力供給

いくつもの変電所を通過させず、初めから低い電圧で送電すればいいのでは、と思う人は多いでしょう。
初めから高い電圧を発電所から送る理由は、送電中のロスを減らせるからです。

そして、電気を建物内へ引っ張るために二種類の引き込み線があります。

一つが「架空配線」といって、電柱から建物へ電線をつなげて電力エネルギーを運ぶ方法です。
もう一つは「地中配線」といって、施設近くに電気を引っ張る引き込みポールを建てる方法です。

電線を電柱から引き込みポールへ、電線を引き込みポールから地中の中を通じて建物へつなぎます。

建物によって電気の引き込み線は違うため、環境に合わせた工事が必要です。

電気の引き込み方法

電気の引き込みは一つだけではなく、四つのいずれかの方法で工事が行われます。
それぞれの特徴をチェックしていきましょう。

単相2線式

単相2線式は、電圧線二本を一組とした構成で、二つの線は100Vの電位差なので使用できる電圧は100Vまでです。
業界では「単二」とも呼ばれ、日本の多くの戸建住宅で利用されています。

身近で使っている電化製品をみて分かるように、日本製の家電はほとんどが100Vです。
低圧である100Vは安全性が高いことから、よく見られる引き込み方法です。

単相3線式

単相3線式は、電圧線二本と間に中性線一本とした構成で、100Vと20Vのどちらも使用できます。
業界では「単三」とも呼ばれ、40A以上の電力契約をする家庭や大きめの畳数のエアコンを利用する場合に多く見られる引き込み方法です。

三相3線式

三相3線式とは、電圧線を三本とした構成で200Vの電圧供給のため、業務用モーターなど大きな機械を使用するために使う引き込み方法です。

日本で利用率の高い三相誘導電動機のモーターは、三相3線式の電気引き込み工事をするのですが、一般家庭ではまず見かけない施工です。
ほとんどは、モーターを使う工場や公共施設などで使います。

高圧引き込み

高圧引き込みは、電圧供給が6000Vと高い電力を使うときに施工する引き込み方法です。

通常100Vや200Vの電圧は変圧した電気を引くのですが、高圧電力は高圧受変電設備であるキュービクルなどで電圧を下げてから使います。

一般家庭では馴染みありませんが、工場やビルなど高圧電力を必要とする施設で見かける引き込み方法です。

電気の引き込み線の施工方法

電気の引き込み線工事は、施工方法にもいくつか種類があります。
工事の流れと一緒に、チェックしていきましょう。

電気を引き込む工事の種類

電気を引き込む工事には、いくつか種類があります。
どんな工事があるのか、一例を紹介します。

PAS工事

PASとは気中負荷開閉器といい、電気事故によって住宅設備で電気トラブルが発生したとき、近隣住民が停電を引き起こさないように保護するための装置です。

引き込み柱工事

引き込み柱工事とは、高圧電線から建物内に電力を引き込むために、電柱を建てることをいいます。

近くの電柱から電気を引っ張りたい建物が離れているときなどに設置します。

低圧引き込み工事

低圧引き込み工事は、電柱から流れる高圧電力を変圧器から低圧電力にして引き込む工事です。

電気引き込み工事の流れ

電気の引き込み工事は、どんな流れで行われるのかチェックしていきましょう。

1. 電気引き込み前に打ち合わせ
2. 電力会社と最適な工事方法を話し合う
3. 建設設計と施主と打ち合わせ
4. 電力会社へ届けを出す
5. 電力会社が引き込み工事

電気の引き込み工事はシーズンによって施工完了まで一ヶ月~三ヶ月かかるため、早めに手続きや申込みをしましょう。

電気工事の費用相場は?

電気を建物内に引っ張る工事費用は、配線の長さや施工方法などによって大きく変わります。

例えば、電気の引き込み方法を変えるのであれば約10万円以上、戸建住宅へ電気の引き込みをするなら約15万円以上などです。

高圧電力の工事は100万円単位で費用が発生するため、予算に合わせて工事の規模を考えた方が良いでしょう。

電気の引き込み線工事にまつわる注意点

電気の引き込み工事は、電気工事士などの有資格者でなければ対応できません。
安全安心な暮らしができるように、電力会社が四年に一度無料で点検していますが、中にはウソを装って電力調査の費用をだまし取ろうとする人がいます。

調査スタッフは、必ず電力会社や名前を名乗り、身分証明書も身に着けているので「おかしい」と思ったときは管轄の電力会社に相談してください。

まとめ

電気の引き込み線はいくつか種類があり、施工方法によって使用できる電圧が違います。
暮らしの中で欠かせない電気ですが、電気調査と偽って費用を請求する詐欺もあるので気をつけましょう。