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砂防ダム建設の流れについて解説!砂防ダムの役割に関しても説明!

2022年12月28日

砂防ダムの建設は、災害から周辺地域を守る非常に重要な土木工事です。
しかし、「砂防ダム建設工事」とはどのようなものかわからない方もいらっしゃると思います。

砂防ダムは、土砂崩れや土石流を防ぐために、川の上流につくられ、川の土や砂を溜める施設です。
溜めると、両岸の山裾を固定し山腹の崩れを抑え下流の民家と住民を守ります。
今回はその砂防ダムの建設の流れと役割に関して解説します。

砂防ダム建設の流れについて解説!砂防ダムの役割に関しても説明!

砂防とは|土砂崩れの防止

砂防とは、山の斜面や川底・川岸などから流れ出る土砂を溜め込んで川の流れのスピードを緩やかにします。
また、斜面の崩壊や川の侵食を防ぎ、一度に大量の土砂が下流に流れて災害が起きないように土砂の流出量を調整します。

そのために行われる、さまざまな仕事をまとめて砂防と呼ぶのです。
つまり、土砂災害の発生を防ぎ、軽減させる対策が砂防となります。

砂防ダム建設工事とは

「砂防ダム建設工事」とは、文字通り砂防ダムを建設する工事です。
砂防ダムとは、夜間部などで上流から流出する土砂を受け止めて、少しずつ下流に流れるように調整する構造物です。

近年、ゲリラ豪雨などが原因の山間部から土石流が発生する被害が増えています。
このような被害を抑えるために建設が行われています。

砂防ダムの役割と必要性|大雨の際の土砂のせき止め

砂防ダムは、一般のダムとは違い、土砂災害防止に特化したダムです。
見た目は一般的なダムと同様ですが、基本的に貯水機能は持っていません。
また、ダムの上流側に土砂を堆積させ、河川勾配を緩やかにして河川の侵食力を小さくします。

ダム内に土砂が一杯になった状態であっても、土石流が起きた場合は川床勾配が緩やかなので貯砂量の1割〜5割程度の土砂を蓄積可能です。
これらによって、急激な川の流れになりかねないところ勾配が緩やかになり水の流れが遅くなるのです。

結果、平野部においての土石流などの被害防止につながります。

砂防ダム建設工事の種類|大きく分けて2種類

以下のように大きく分けて2つの種類があります。

● 土砂を溜めて渓流の勾配を緩やかにする「透過型」
● 一度に大量の土砂が下流に流れるのを防ぐ「不透過型」

それぞれどのようなものなのか、詳しく見てみましょう。

【透過型】|平常時に土砂の流下が可能

透過型は土石流の捕捉や勢いの減少、土砂と水を分けるのに使われ、水通し部に大きな開口部を持っている形状です。
河川にブロックや鋼鉄、コンクリートなどを用いて柵やスリットのあるダムを設置します。

何もない平常時には、水や土砂が柵の間やスリットから流れ出ます。
土石流が発生した際は、大きな岩や流木の流出を抑えられるのです。
洪水時の土砂流出を調整する目的で設置されます。

設置の際は新設するほかに、従来の不透過型を切断してスリットをつける方法もあります。

【不透過型】|不安定土砂の移動を抑制

不透過型は、不安定土砂の移動を抑え、河道の安定および山脚の固定を図るのを目的として設置されます。

コンクリートや残土を中詰材に使用し、コンクリートの塀のようなものを設置します。
塀に水を通す穴や溝を開けておくので、通常時はそこから水が流れますが、土砂は流れません。
そのため、土砂は少しずつ堆積されていきます。

土石流発生時は大きな岩や流木、土砂を溜められ下流への被害を抑えられます。

砂防ダム建設工事の流れ|順に見ていこう!

ここからは、砂防ダム建設工事の流れに関して「砂防工事」と「渓流保全工」に分けて大まかに順を追って解説します。
少し難しい部分もありますが、イメージして勉強すれば理解できるでしょう。
詳しく解説します。

砂防工事|本体の工事

砂防工事の流れは以下の通りです。

上下流工事のとの事前調整 土石流危険渓流では、他機関との事前調整と工事中の連絡体制の整備を行います。
堰堤準備工・掘削工 仮水準点の設置→仮量水標の設置→工事用道路・管理用道路→ 仮排水路工→ 伐開、除根→基礎掘削
岩盤清掃 ウォーターエアジェット等を使用し、凹部に沈澱している小さなくずや、薄いシームの軟質部を取除きます。

残り水はウエス、スポンジ等でふき取ります。

捨土 掘削した土砂は、適切な残土処分地に処理しなければなりません。
型枠  寸法が正確で構造的に丈夫な必要があります。
構造物の位置や形、付法が正確で容易に組立て、取りはずしができるものでなければなりません。
コンクリート工 設計時に、生コンクリート使用可能な場合は、生コンクリートを使用します。
袖部の施工 自然の地盤が直切りできない場合は本体と同質コンクリートで同時打設を行います。

ただし、地盤が土砂で、袖底部が高水位以上であるまたは全面に擁壁・護岸等がある場合は、型枠を立て、掘削ラインとの間詰は土砂で埋め戻し可能です。

伸縮目地工 仲仕切り型枠で所定の位置がずれないように設置します。

伸縮目地を施工した箇所は上流側に止水板を設置します。

本体および垂直壁と側壁・水叩き間には原則、目地材を施工しなければなりません。

以上のような施工順序で砂防工事は進みます。

渓流保全工|安全の確保と生態系の保全

溪流保全工は乱流や偏流を調節して渓床/渓岸侵食の防止を目指すものです。
溪流保全工は、床固工・帯工・護岸工・水制工・流路工などの組み合わせで構成されます。

原則的に計画域の上端部に砂防堰堤または床固工を設置する必要があります。
施工にあたっては、上流部から下流部に工事を進めなければなりません。
生態系保全と自然調節機能活用の観点から、多様な自然地形をなるべく活かす砂防施設を設置する必要があります。

まとめ

台風やゲリラ豪雨などにより、土石流が発生すると下流の地域に甚大な被害を与えてしまいます。
砂防ダム建設は、土石流の発生による被害を食い止めるための工事です。

砂防ダムを建設すると下流地域の快適な環境づくりを行えます。
今回の記事を参考にして砂防ダム建設の流れと重要性を頭に入れておきましょう。