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地盤とは?誰でも簡単にわかるように解説

2023年08月30日

私たちの身の回りにある建物や構造物は、地盤という基盤の上に成り立っています。
しかし、その地盤の性質や重要性について理解している人は少ないかもしれません。
本記事では、初心者でも簡単に理解できるように、「地盤」という概念について詳しく、かつ簡単に解説します。

地盤の基本的な概念から、その種類や特徴、調査方法、強化手法までを紹介します。
安全な建築や土木工事のために不可欠な地盤の知識を身につけましょう。

地盤とは?誰でも簡単にわかるように解説

地盤とは

地盤とは、建物や構造物の基礎を支える土地の部分を指します。

地面の下に広がる地層や土壌の性質によって形成される地盤は、安全な建築や土木工事を行う上で重要な要素です。
以下では、地盤の基本的な概念からその特徴までを簡単に、わかりやすく解説します。

地盤とは近くの表層部のこと

地盤は、地表から一定の深さまでの土地の部分を指します。
建物が立つ際にその荷重を支え、安定した状態を保つ役割を持つのが地盤です。
地盤は下層の岩盤や粘土、砂などの地層も含みます。

少し外を見て、地表が見えていれば土も岩も全て地盤です。
ただし、生きている植物や、周辺に存在する建物は地盤とは言いません。

地盤には2種類ある

地盤は大きく分けて2種類あります。

・支持地盤(支持層)
・軟弱地盤

支持地盤(支持層)は、建物や構造物の荷重をしっかりと支えることができる地盤のことです。
一方で、軟弱地盤は荷重によって変形しやすく、安定性が低い地盤を指します。
適切な基礎設計や地盤改良が必要とされます。

地盤の強度はn値で表される

地盤の強度や耐荷重性は、n値と呼ばれる数値で評価されます。
n値は地盤を掘削する際に、一定の深さごとに取得されるデータから計算され、地盤の硬さや堅さを示す指標です。
n値が高いほど地盤の強度も高く、建物の安定性に影響を与えます。

以下がn値の目安です。

n値:0~4 → 地耐力:0~40

n値が0~4の土質は、非常に柔らかい粘性土を示します。
軟弱地盤とされ、地盤改良が必要な場合があります。

n値:4~10 → 地耐力:40~100

n値が4~10の土質は、砂質土でゆるいと分類されます。
比較的安定していますが、沈下の懸念が残ります。
地盤改良を検討することがあります。

n値:10~30 → 地耐力:100~300

n値が10~30の土質は、基本的には基礎地盤として考えられます。
n値が20以上が望ましい基礎地盤とされます。

n値:30~50 → 地耐力:300~500

n値が30~50の砂質土は、中小建造物の基礎地盤として適しています。

n値:50以上 → 地耐力:500以上

n値が50以上の場合、大型建造物に適した非常に強固な地盤(岩盤)とされます。
施工方法や使用機械の選定が重要です。

地盤と土地の違いは?

地盤は土地の一部であり、建築や構造物の基礎を支える役割を担います。
一方、土地は地盤の上に広がる地表部分を指し、自然環境や土地利用の観点から評価されます。
地盤は土地の下に広がる重要な要素です。

地盤の調査方法

地盤調査は、建築や工事の際に地盤の性質を正確に把握するために行われる重要なステップです。
さまざまな方法が存在しますが、戸建住宅の場合、一般的には「スクリューウエイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)」がよく利用されます。

以下に、スクリューウエイト貫入試験について詳しく解説します。

スクリューウエイト貫入試験は、地盤の強度や耐久性を調査するために行われる方法です。
具体的な手順は、以下の通りです。

スクリューウエイトの設置
鉛直に挿入されたスクリューウエイト(螺旋状の鋼管)を地盤に貫入させます。
スクリューウエイトは、回転させることで地盤に進み、その際の貫入抵抗を計測します。

貫入抵抗の計測
スクリューウエイトを回転させながら進める過程で、地盤の種類や強度によって貫入抵抗が変化します。
これを計測し、地盤の性質を推定します。

ログの作成
貫入抵抗の計測結果を記録したログを作成します。
このログは、後の解析や設計に活用されます。

スクリューウエイト貫入試験の利点は、比較的迅速に実施できることと、試験装置が小型であるため、狭小地や屋内でも行える点です。
また、建物の基礎に影響を与えずに調査が可能です。

ただし、スクリューウエイト貫入試験はあくまで推定値を基にした評価であり、地盤の詳細な性質や地下の層構造までは正確には分析できません。
したがって、より詳細な情報が必要な場合には、他の調査方法との併用を検討することが重要です。

地盤の強化方法

地盤調査の結果、建物を建設する予定の土地が軟弱地盤であることが判明しても、あきらめる必要はありません。
なぜなら、地盤改良工事によって、強度の不足していた地盤を十分強固にすることが可能だからです。
以下に、主な地盤改良工事の方法を3つ紹介します。

① 表層改良工法
この方法では、地盤の比較的浅い部分を掘削し、固化材を混ぜてから元の土を戻すことで地盤を強化します。
特に地盤の軟弱な層が浅い場合に効果的で、強度を向上させることができます。

② 柱状改良工法
柱状改良工法は、表層改良と比べてより深い層まで改良でき、強度を確保できます。
この方法は、戸建住宅やアパートの建設現場で広く採用されており、地盤の強化に適しています。

③ 鋼管杭工法
鋼管杭工法も柱状改良と同じ考え方で行われますが、柱の代わりにコンクリートではなく鋼管を使用します。
この方法は柱状改良よりも費用は高くなりますが、建物の支持力を高めるだけでなく、短期間で工事が完了し、小型の重機を使用して施工できる利点があります。

強固な地盤は人を守る大切な礎!

地盤は建物や構造物の基礎を支える重要な要素であり、その性質や強度は安全性に大きな影響を与えます。
支持地盤と軟弱地盤の違いや、地盤の強度を示すn値の重要性について理解しました。
また、地盤の調査方法や強化手法についても紹介しました。

強固な地盤の上に建設された建物は、長期間にわたって安定した状態を保つことができます。
地盤の知識を活用して、安全な環境を築くための礎としましょう。